限定詞 wikipedia|無料辞書
限定詞(げんていし)とは、
名詞や名詞句を修飾する
語であり、文脈における名詞の役割を示す。名詞の示す物の性質を表す
形容詞とは異なる。
英語、
フランス語、
ドイツ語などの西欧諸語の多くで、限定詞は形容詞など他の品詞と明確に区別される。一般に、限定詞には以下の語が含まれる。
・指示限定詞
・疑問限定詞
・否定限定詞
限定詞は、一つの名詞に対して一つしか使われない。この点が形容詞と全く異なる。例えば英語の the と my はどちらも限定詞なので、
*the my car とは言えない。名詞や形容詞が
性、
数、
格などに応じて変化する言語では、限定詞も同様に変化することが多い。また限定詞は、強勢を持たない
接語であることが多い。また、多くの形容詞と異なり、限定詞は単独では用いられず、
コピュラの補語となることもできない。
言語学では、限定詞こそがいわゆる名詞
句の主要部であるという DP 仮説(DP: Determiner Phrase、限定詞句)が提唱され
、現在では
生成文法の主流となっている。
◆ 冠詞
冠詞は典型的な限定詞であり、単に
定不定を示すだけである。英語の the, a、フランス語の le, un、ドイツ語の der, ein などがそうである。
・ the man, a woman (英語)
・ l'homme, une femme (フランス語)
・ der Mann, eine Frau (ドイツ語)
◆ 指示限定詞
指示限定詞は名詞を修飾する
指示語であり、英語の this, that、フランス語の ce、ドイツ語の dieser, jener などがそうである。冠詞と同じく、指示限定詞は定を表す。
・ those children (英語)
・ ces enfants (フランス語)
・ diese Kinder (ドイツ語)
◆ 所有限定詞
所有限定詞は所有を表す限定詞であり、英語の my, your、フランス語の mon, ton、ドイツ語の mein などがそうである。冠詞と同じく、所有限定詞は定を表す。なお、
イタリア語で所有を表す mio などの語は、冠詞と共存できるので、所有限定詞ではなく形容詞と見なされる。
・ my house (英語)
・ ma maison (フランス語)
・ mein Haus (ドイツ語)
◆ 疑問限定詞
疑問限定詞は疑問文で使われる限定詞であり、英語の which、フランス語の quel、ドイツ語の welcher などがそうである。日本語の「どの」、「どんな」に当たる。
・ which book (英語)
・ quel livre (フランス語)
・ welches Buch (ドイツ語)
◆ 否定限定詞
否定限定詞は、名詞で示されるものが存在しないことを表す限定詞である。英語の no、フランス語の aucun、ドイツ語の kein などがそうである。日本語には対応する語句が無く、一対一で翻訳することはできないため、「〜は無い」という構文で表される。
・ no apple (英語)
・ aucune pomme (フランス語)
・ kein Apfel (ドイツ語)
◆ 数量詞
数量詞は数や量、あるいは
数理論理学における量化(
全称や
存在)を示す限定詞であり、多くは不定を表す。
数詞を含めることもあるが、数詞が限定詞かどうかは議論がある
。例えば量化を示す英語の every, each、フランス語の chaque などは明らかに限定詞であり、他の限定詞と共存できないが、数詞である英語の two, three、フランス語の deux, trois などは不定冠詞以外の限定詞と共存できる。また英語では、hundred 以上の数詞は a hundred men のように必ず限定詞を伴い、限定詞が無い
*hundred men は誤りである。
◆ 限定詞と代名詞
限定詞を持つ言語の多くで、一人称複数および二人称複数の
人称代名詞を限定詞として使うことができる。例えば英語の
we Americans や
you Japanese などがそうであり、集団全体を示す。これを更に進めて、全ての代名詞は限定詞の一種であり、名詞句を持つか持たないかの違いであるとする説もある
。これは、英語の this など、多くの言語で指示限定詞と指示代名詞とが同形であることを説明できる。この他、フランス語では定冠詞と三人称代名詞の対格形とが同形の le/la/les であり、またドイツ語では限定詞から代名詞を規則的に作れる。
以下に限定詞と代名詞を比較する。